工程管理(ネットワーク工程表)は「計算ルール+フロート+ダミー」を理解すれば得点できる分野です。
過去10年(平成28年〜令和6年)を分析すると、
出題パターンは完全に固定されており、
毎年ほぼ同じ計算問題が繰り返し出題されています。
重要ポイントは次の3つです。
クリティカルパス(最長経路=工期)
フロート(TF・FFの違い)
ダミー(時間0でも必ず経路に含める)
つまり試験では
「計算手順(ES・LS)+フロートの定義+ダミーの扱い」
が問われています。
この記事では
過去10年の出題パターン分析
ES・LS計算の確実な手順
TFとFFの違い(頻出ひっかけ)
ダミーによるミスの回避方法
を体系的に解説します。
はじめに
私は今年、一級建築施工管理技士(一次検定)を受験する立場です。
工程管理の「バーチャート」や「工程グラフ」の次に、
多くの受験生が本格的につまずき、アレルギー反応を起こしてしまうのが
ネットワーク工程表
です。
正直なところ、ここは多くの受験生が
パズルのような計算が苦手
矢印の向きや結合点の数字が意味不明
いっそ捨てて他の分野で挽回しよう
と諦めてしまいがちな難所です。
しかし、私の分析による結論は違います。
「基本ルール + 頻出の落とし穴」さえ知れば、確実に1問をもぎ取れる
ボーナス分野なのです。
特に今回の完全版解説では、単なる計算順序だけでなく
クリティカルパス(工期を決定する生命線)
ES・LS計算(最早時刻と最遅時刻の鉄則)
ダミー(超重要)(時間0の点線に潜む罠)
TFとFFの違い(得点差が出る)(2種類の余裕時間の本質)
試験で合否の差がつくポイントまで完全に網羅しています。
ネットワーク工程表とは
作業の順序と相互関係を矢印(アクティビティ)と結合点(イベント)で表した工程表
のことです。
主な特徴:
並行作業・直列作業の関係が視覚的に明確
全体の工期を論理的に計算できる
経験則ではなく「数式」で解くべき問題
試験対策としてのポイントは、
「実務の管理能力」ではなく“純粋な計算問題として出題される”
という点にあります。現場の勘を捨て、数学的に処理する癖をつけましょう。
出題パターン(過去10年分析)
過去問を分析すると、問われる論点は驚くほど限定されています。
頻出論点:
クリティカルパスの特定
最早時刻(ES)の算出
最遅時刻(LS)の算出
フロート(TF・FF)の計算
ダミーの扱いと経路判定
ほぼ毎年、これらの要素を組み合わせた複合問題が出題されています。
クリティカルパスとは
ネットワーク工程表において、最重要の概念です。
クリティカルパス=最長経路(日数合計が最大)
定義:
スタートからゴールまで、作業時間が最もかかる経路
ここが重要な理由:
この経路の合計時間 = 全体の最短工期 となる
この経路上の作業が1日でも遅れると、全体工期が遅延する
総余裕時間(TF)が常に0である
試験での「ひっかけ」
「最短経路」が工期である
誤り(すべての作業が終わらないと竣工できないため、一番時間がかかるルートが基準です)
解き方①(最早時刻:ES)
工程表の左(スタート)から順に「足し算」で進めていくステップです。
最早時刻(ES)=(前日ステップの数値)+作業日数
※合流は大きい方を採用
計算ルール:
前のイベントの時刻に、作業時間を順に足していく
複数の矢印が合流する場合 → 最大値(大きい方の数字)を採用する
間違いやすいポイント
合流地点で「小さい方の数字」を使ってしまう
誤り(すべての先行作業が終わるまで次へ進めないため、遅い方に合わせる必要があります)
解き方②(最遅時刻:LS)
工程表の右(ゴール)から左へ「引き算」で戻っていくステップです。
最遅時刻(LS)=(後ろステップの数値)−(作業日数)
※分岐は小さい方を採用
計算ルール:
ゴールの時刻から、作業時間を逆算して引いていく
矢印が分岐して戻る場合 → 最小値(小さい方の数字)を採用する
間違いやすいポイント
分岐(戻り)地点で「大きい方の数字」を使ってしまう
誤り(工期を遅らせない限界の時刻を求めるため、厳しい方(小さい値)に合わせます)
ダミー(最重要の落とし穴)
ここで受験生の明暗が分かれます。
ダミーとは:
作業時間が0の矢印(通常は点線で表記される)
役割:
作業の前後関係(順序)のみを規制し、論理的な依存関係を表す
重要ポイント:
作業時間は0であっても、経路(ルート)判定には必ず含める
致命的なミス:
「時間が0だから存在しないもの」として無視してルート計算する
致命的ミス
理由:
ダミーを通るか通らないかで、クリティカルパスの構造(ルート)が全く変わってしまうからです。
計算上の加算は0でも、“ルートの選択肢”としては絶対に無視できません。
フロート(余裕時間)
ここは2026年以降の試験対策において、最も差がつく最重要ポイントです。
トータルフロート(TF)
トータルフロート(TF)=最遅時刻(LS)−最早時刻(ES)
意味:
その作業を遅らせても、工事全体の竣工日を遅らせない最大許容範囲
特徴:
TF = 0 となる作業を繋いだものが、クリティカルパスである
フリーフロート(FF)
フリーフロート(FF)=次イベントの最早時刻−自イベントの最早時刻−作業日数
意味:
その作業を遅らせても、後続する「次の作業」の最早開始時刻に影響を与えない余裕
TFとFFの違い(超重要)
TF(トータルフロート) → 全体工期への影響度
FF(フリーフロート) → すぐ後ろの工程への影響度
試験で狙われる「ひっかけ」
「FF = 0 であれば、その作業は必ずクリティカルパス上にある」
誤り
理由:
FFは、クリティカルパスでない(TFがある)作業であっても、すぐ後ろの作業との兼ね合いで0になるケースが多々あるからです。
「TF=0はクリティカル」ですが、
「FF=0は必ずしもクリティカルではない」という点が頻出のひっかけです。
出題パターン分析
よく出る問題の組み合わせ
クリティカルパスはどれか(経路選択)
特定の作業のTF計算
特定の作業のFF計算
全行程を終わらせるための必要工期
よくある誤答の原因
点線のダミーを経路から外して考えてしまう
FF(次工程への影響)とTF(全体への影響)の公式を混同する
合流地点の最大値・分岐地点の最小値を逆に使う
「ダミーの存在 + FFの正確な定義」が、他者と差をつける武器になります。
一発で解ける手順(完全版)
ミスを最小限にするため、必ず以下の手順を守ってください。
- ES(前から計算):各イベントに□(最早時刻)を書き込む
- LS(後ろから計算):各イベントに△(最遅時刻)を書き込む
- TF計算:各作業の「最遅-最早」で余裕を出す
- FF確認:後続作業への影響を個別にチェック
- クリティカル判定:TF=0の経路を太線で結ぶ
この手順を飛ばすと、複雑なネットワーク図では必ずミスが発生します。
まとめ(視覚整理)
ネットワーク工程表の核心を整理します。
クリティカルパス
- 時間が最大となる最長経路
- TF(総余裕時間)が常に0
ES(最早時刻)
- 図の左から右(前向き)に足し算
- 合流地点は「最大値」を採用
LS(最遅時刻)
- 図の右から左(後ろ向き)に引き算
- 分岐(戻り)地点は「最小値」を採用
フロート
- TF(全体への余裕):これを超えると工期が伸びる
- FF(次への余裕):これを超えると次の作業が遅れ始める
ダミー
- 作業時間は0でも、経路判定の際は「1本の道」として必ず含める
過去問から見える優先順位
最優先:クリティカルパスの特定(すべての問題の土台です)
次に重要:TFとFFの使い分け(ひっかけ問題の主役です)
基礎:ES・LSの計算スピード(ここで時間を稼ぎます)
合否の分かれ目:ダミーの正確な処理(難問対策の鍵です)
つまり、
「TF・FF・ダミー」の3点セットを攻略した人が、この分野の勝者になります。
私の結論
この分野を初めて勉強したとき、私は正直「無理ゲーだ」と感じました。
しかし、何年も過去問を解き進めるうちに、ある事実に気づきました。
出題されるネットワークの形(パターン)はほぼ固定されている
計算に使うルール(加減法)は小学生レベルで固定されている
受験生を落とすための「落とし穴」さえ完全に固定されている
結論として、
ダミーを決して無視しない丁寧さ
TFとFFの定義を混同しない正確さ
決められた手順通りに解く誠実さ
これらを持つだけで、
ネットワーク工程表は、一次検定において最も安定して得点できる「得意分野」
に変わります。
さらに得点を安定させたい人へ

ネットワーク工程表は、知識の量よりも、手を動かした回数がモノを言う
“慣れのゲーム”という側面が非常に強い分野です。
だからこそ、解説を読んで分かった気になるのではなく、
過去問を自力で、何度も、図を描きながら解き直す反復学習
が合格への最短ルートです。
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